フランス・クリダのピアノで、リストの「エステ荘の噴水」、「メフィストワルツ1番」他を聴きました(録音年代不明)。
クリダは1960年後半から1970年代にかけて、リストのスペシャリストとして名を馳せたピアニスト。
彼女の名は存じていたけれど、じっくり聴くのは初めてかも。果たして、夢心地の40数分間でした。
「エステ荘の噴水」は、元来が涼しげな音楽ですが、クリダの手にかかると益々その感が強くなります。
水晶のように硬質なタッチは、清流のごとく軽やか。蒸し暑い東京の、西日差すわが家にやさしい冷風がそよぎました。
「メフィストワルツ1番」、たまにホロヴィッツ盤を取り出します。これはまさに「悪魔」のよう、毎度のように圧倒されるのですが、クリダによってそのイメージが変わりました。
滑舌がよくて繊細。声を大きくするところも決して荒げない。音は粒立ちがよく、あたかも澄み切った空気に降りかかる星屑のよう。これは、玲瓏な悪魔。
ホロヴィッツとは異なるスタイルであるものの、強烈な魅力を感じないわけにいきません。
クリダのリスト、俄然興味が湧きました。
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