リチャード・ストルツマンのクラリネット、東京クワルテットの演奏で、モーツァルトのクラリネット五重奏曲を聴く。
ストルツマンのクラリネットは明快で歯切れがいい。音色はピンと張っており、とてもクリア。彼の生演奏は昔、モーツァルトのコンチェルトを聴いたことがある。それを彷彿とさせる。なんともうまいものだ。技術だけではなく、表情づけも深い。2楽章では秋の落日の憂いを、丁寧に醸し出している。
東京SQは繊細。そして、各楽器がそれぞれ明瞭に聴こえる。バランスがいい。それが彼らの大きな持ち味。ときおりポルタメントを効かせて甘い味をつけている。間の取り方も、すっと腑に落ちる。ストルツマンとの呼吸はぴったり。
思えば、この四重奏団のよさを知ったのは解散してから。だから実演を聴くことができなかった。ベートーヴェンの全集にしてもこのモーツァルトにしても、じつに素晴らしい。しみじみ、惜しい事をした!
録音年代からするとこの頃、第1ヴァイオリンはピーター・ウンジャンだったはずだが、ジャケットには原田と記載されている。印刷ミスかな? とりあえず記載の通りに書いておく。
原田幸一郎(第1ヴァイオリン)
池田菊衛(第2ヴァイオリン)
磯村和英(ヴィオラ)
原田禎夫(チェロ)
1990年7月、ニューヨーク、アメリカン・アカデミーでの録音。
ヨット。
3月に絶版予定。。
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