ユージン・イストミンのピアノで、ブラームスの「ヘンデルの主題による変奏曲とフーガ」を聴く。
彼はロシア人を両親に持つアメリカ人。1925年に生まれ、2003年に亡くなっている。イストミンのコンチェルトや室内楽は聴いたことがあるものの、ソロを聴くのはたぶん初めて。
このボックスは、彼がコロンビアに録音した演奏を集めたもの。オリジナルのジャケットになっており、見るのも楽しい。ただ、それゆえに収録曲もおそらく、ほぼLP当時のままなのであろう。1枚にラフマニノフのピアノ協奏曲2番のみ、31分程度が収録されているものがあり贅沢。
さて、ヘンデル・ヴァリエーションの演奏は、とても軽やか。タッチのキレがいいのもさることながら、ピアノの音色そのものが軽い。モダン・ピアノにひと匙のハンマークラヴィーアのエッセンスを混ぜたよう。
第1変奏、浮遊感があり愉快。まるでピクニックの始まりみたい。第5,6変奏は、淡い憂愁が沁み入る。第12,22変奏、繊細は高音がキラキラと煌めく。フーガは折り目正しい。一貫して中庸なテンポを保ち、じわじわと高揚する。
まだ、あと11枚。楽しみである。
1951年3月、ニューヨーク、30番街コロンビア・スタジオでの録音。
砂浜。
3月に絶版予定。。
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