ビシュコフ指揮ロンドン・フィルの演奏で、メンデルスゾーンの交響曲3番「スコットランド」を再び聴きました(1986年12月、ロンドン、トゥーティングでの録音)。
ロンドン・フィルは、初めて聴いた海外のオーケストラ。1980年にショルティの指揮で、「ニュルンベルクのマイスタージンガー」前奏曲が鳴ったときの、ホール全体を包み込むような馥郁たる香りは、一生忘れることができないでしょう。
若きビシュコフがリードをしたこのディスクでも、その一旦を垣間見る(聴く?)ことができます。
弦楽器は、しなやかであり、弾力があります。それは1、3楽章において、とりわけ顕著。適度な湿り気を帯びているところは、あたかも濡れた瞳のよう。そして、ときおりみせるポルタメントは、零れ落ちる涙。
木管楽器は、2楽章で活躍するわけですが、ふくよかなファゴットと鮮烈なオーボエ、クラリネットを聴くことができます。
ビシュコフの硬軟織り交ぜた指揮は、生まれたての若芽のようにいきいきしています。デリカシーにも事欠かない。
「スコットランド」の名盤のひとつに挙げたいディスクです。
パースのビッグムーン。
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