ズスケ弦楽四重奏団の演奏で、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲13番を聴きました(1979年5-6月、ドレスデン、ルカ教会での録音)。
「大フーガ」は別途聴きます。
13番は、比較的最近になって好きになった曲です。それまでは、14番と15番に強く惹かれていましたが、13番もかなりいい。
とくに、差し替えられた最終楽章の魅力には抗しがたく、これはもしかしたら、ベートーヴェンの人生の総決算とも言うべき音楽なのではないか、とも考えています。
ズスケ四重奏団は、この曲においても好調です。全体的にはいくぶんゆっくり目のテンポであり、地に足をしっかりと踏みしめるような丁寧な弾きぶり。各メンバーの技量の高さ、音楽の流れに沿った自然な抑揚のつけかた、そして、うららかな春の風の芳香が立ち上るような響きなど、文句のつけようがありません。
5楽章のカヴァティーナは13番の白眉のひとつ。しなやかであるうえに、弦の音色が濃厚。
6楽章は、ベートーヴェンによる辞世の句のようなもの。明るさに泣かされます。ズスケの演奏は、とても折り目正しいものです。2つ目のテーマは、4つの楽器が絶妙に絡み合って、極めて美しい。
汚れた心を洗い流してくれるような演奏です。
カール・ズスケ(第1ヴァイオリン)
クラウス・ペータース(第2ヴァイオリン)
カール・ハインツ・ドムス(ヴィオラ)
マティアス・プフェンダー(チェロ
パースのビッグムーン。
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