マーラー 「大地の歌」 ジュリーニ指揮ベルリン・フィル 他奥田英朗の「空中ブランコ」を読む。
これは、サーカスの団員が空中ブランコの失敗を相方の嫌がらせだと思いこみ、疑心暗鬼に陥るドタバタ喜劇。
またしても、伊良部医師シリーズのなかの一編。
サーカス団に溶け込む伊良部の自由気ままで屈託のない振る舞いが痛快でカッコいい。ブランコから落ちてボヨンボヨンとクッションに跳ねる姿を想像すると笑える。
ジュリーニの指揮でマーラー「大地の歌」を聴く。
このライヴ録音は、セッション録音のほぼ前日に、同じメンバーで行われている。
セッション録音は、歌手もいいけれど、なんといってもオーケストラの雄弁な響きと技が圧倒的で、それが強く印象に残る演奏だった。
それに比べ、このライヴは、オーケストラの雄弁さは変わりなく、さらに独唱の二人の気合いが乗っていて聴かせる。
まずアライサのテノール。輝かしい声はどこまでも高く飛翔する。そして強いパッションがある。この情熱は、セッション録音では聴かれなかったものだ。臨場感がたっぷり。全盛期のアライサの実力をまざまざと見せつけられる。、
ファスベンダーもいい。彼女はいつも安定しているから、安心して聴いていられる。終楽章にはジュリーニのオケと共にかなり深いところにまで踏み込んでおり、最後の「永遠に」の個所では感動しないではいられない。
これは、数多い「大地の歌」の中でも、特に優れたディスクであると思う。
ブリギッテ・ファスベンダー(メゾ・ソプラノ)
フランシスコ・アライサ(テノール)
1984年2月、ベルリン、フィルハーモニー・ザールでのライヴ録音。
PR