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ケーゲルのマーラー「交響曲第4番」

2008.02.20 - マーラー
mahler

マーラー 交響曲第4番 ケーゲル指揮ライプツィヒ放送管弦楽団、他


冒頭の鈴の音から引き込まれる。
「シャンシャンシャン」、ではなく、「リンリンリン」といった、可愛らしくも毅然とした音。
この凛とした鈴の音は、演奏の全体を象徴した音だといえる。
音色に対しての感覚的な鋭さが、この演奏の基盤になっている。1楽章のラッパの悲しげながらも温かみに包まれた音、2楽章の失望感たっぷりのかさついたハープの音。3楽章のなんとも楽しげなホルンと、優しくたゆたう弦楽器。
それぞれの場面で、さまざまな楽器がみんなそれぞれ違った色の衣をつけて登場する。時には、普段聴こえない音が現れたりして、新鮮な驚きもある。
テンポの流れは、あまりなめらかではない。急に速度を落とすシーンがいくつもあって、それはとても濃厚な表情をつけるのに効果的だが、流れを停滞させる一因にもなっている。
でもそれは意図的にやっているのだろうことは想像できる。独特の、退廃的な色気を感じさせる。
テンポは全体的にゆっくり目であり、前にずんずん進んでゆくというよりは、よそ見をしながらのんびりと歩いているような、好奇心たっぷりの悠揚さがある。
上を見れば広い青空、そこにぽっかり白い雲があったり、薄い月が見えたり。うつむいてみれば何の変哲もない石ころがごろごろ、雑草も生えているし、黄色い小さな花も咲いているというような、さまざまな登場人物がいる。
それは実は、クラリネットだったり、ヴァイオリンだったり、ティンパニ
だったりする。
セレスティナ・カサピエトラのソプラノも、可憐な花のひとつとしてオーケストラに溶け込んでいる。
少しユニークだけど、心にしみいるいい演奏であった。
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Comment

無題 - rudolf2006

吉田さま こんばんは

マーラーの4番
くーべりっく盤かと思いましたが、ケーゲル盤
ちょっとビックリしたというか、拍子抜けしたような、爆~。

4番はマーラーの中でも一番聞きやすい曲の一つですよね。あの冒頭のリズム、4楽章でも使われていますが、あれだけでも天才の技とでも言えるものですね、短音で、シャン、シャン、シャン、シャン~

ケーゲル盤はもちろん、未聴です、爆~
一枚だけ持っているんですが、アダージョものを録音したものですが、世評には高いのですが、私には、あまり訴えかけてくるところはなかったです。

4番は、昔から大好きで、一度は演奏してみたいと思っている曲なのですが、機会は訪れてこないのではないかな、って思ったりも~。

カサピエトラさんは、スィトナー・ベルリン・シュターツカペレの来日公演で聴いた記憶があります。確かCDも持っていたような~。

この曲、意外にこれといった演奏がありませんよね、私はクーベリック盤、バーンスタイン盤、ショルティ盤、ヴァルター盤、とか持っていますが、聴きたくなったときは、クーベリック盤かもしれません、LP時代から本当によく聴いていますので

ケーゲル盤も聴いてみたいですね~

ミ(`w´)彡 
2008.02.20 Wed 23:00 URL [ Edit ]

Re:rudolf2006さん、こんばんは。 - 管理人:芳野達司

コメントありがとうございます。

クーベリック盤は、まだ聴いていません。年内目標です。
先日、御茶ノ水の中古屋で、このケーゲル盤が格安で入手できたので早速聴いてみました。

これは気に入りました。オケはあまりパッとしませんが、指揮者のやりたいことを懸命に引き出している感じです。
いままで聴いたマーラー4のなかでも五本指にはいります。
この指揮者、けっこう出来不出来が激しい人のような気がしますが、これは良かったです。
カサピエトラの声は落ち着いていて聴きやすいものでした。
2008.02.21 19:08
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