シューベルト 即興曲 ブレンデルNHK総合で、イチローのドキュメンタリーを放送していて、つい見入ってしまった。
普段のイチローからは想像できない、饒舌ぶりに引き込まれた。
話題は、成功するための理念のようなものから、野球の技術論まで幅広かったが、とくに独自ともいえる打撃論は面白かった。
ストライクゾーンの球をヒットにするのは、自分が一番だろう、と。
ボール球に手を出してしまうところに課題があると言う。
確かに、イチローはフォアボールが極端に少ない。その理由として観客はフォアボールを見るために、時間を犠牲にして球場に足を運んでいるのではないという、ファンの目に立ったものだ。
ボール球に手を出してしまうのは、そういう観点にあるものだし、またイチローが歩くためではなく打つために打席に入るという本能的なものもあるのだろう。
ボール球をぐっとこらえて我慢すれば、4割はそう遠くないと予想できるが、あえて彼はそうしないような気がする。
それは、彼の打撃を見るために時間を削って球場に足を運ぶ観客のためであるし、なにより打つことが好きだから、じゃないかと思う。
ブレンデルの即興曲、1度目の録音。
同じシューベルトとはいっても、昨日聴いた
ケルテスの「未完成」は、曲そのもののイメージを覆されるような、極度の緊張感におおわれた演奏であったけど、この即興曲は、どちらかといえばシューベルトの田園的でほのぼのとした世界を堪能できる。
この曲にはいい演奏が多い。
繊細な強弱の按配の妙をみせるルプー、大らかなダイナミズムを聴かせるホロヴィッツなどがあるが、このブレンデル盤は、細やかなテンポの収縮が絶妙で、思いのままにシューベルトの詩情をあますところなく、自然に描ききった演奏だと思う。
フィリップスの柔らかな音色も効果的。
多くの即興曲の名演奏の中でも、遜色のないピアノを聴かせてくれる。
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