あけましておめでとうございます。
あなたにとって、実りのある年になるよう祈願します。
今年の初聴きは、ベートーヴェンの「ハンマークラヴィーア・ソナタ」。
ポリーニの演奏で。
録音は1975年。オファーがあったのは、その前年だったのか、あるいは前々年であったか。
ポリーニは、こう呟いたとか。
「ベートーヴェンの後期? おいおい、俺はまだ33歳だ。勘弁してくれよ。まだまだ遊びたい盛りなんだよ。そこらへんは、ゼルキンさんやリヒテルさん、あるいはちょっと若いけどブレンデルさんといった巨匠にまかせとけばいいんじゃないの? 俺はヴィルトオーソだから、ショパンの練習曲とか、もしくはシュトックハウゼンみたいなわけのわからない音楽で聴衆を煙に巻くのが性に合ってるわけ。え、ファンが望んでる? まあ、あいつらは音楽をよくわかってないからなぁ。とくにベートーヴェンの後期なんかは。どんだけ怖いか。・・・でも、せっかくの機会だから、やってみっか。速い楽章だったらおてのものだから、勢いでぶちかましらろうかい!」
なんて。
でも、この演奏には、若いことを前面に押し出した、フレッシュな「ハンマークラヴィーア」を聴くことができる。
1楽章、2楽章、4楽章は、問題なく素晴らしい。音は少々濁っているものの、キレのあるテクニックはそれを補って余りある。
問題は3楽章。まったくもって、もったいぶった音楽である。どのようなピアニストがこんな音楽をまともに弾けるのかと思う。グルダやゼルキン、リヒテルは天才という前に忍耐強いのであろう。とりあえず、我慢、我慢。。
当時のポリーニは、なにしろ若いから、ここは少々難しかった。
でも全体を通して、青春の力を全て出し切ったかのような弾きぶりは、爽快である。その後、ポリーニはライヴでこの曲を弾いていて、そのひとつを聴いたことがある。素晴らしい演奏だった。
気が向いたら、70歳を過ぎた今、録音して世界に発信してほしいと思う。
1976年9月、ミュンヘン、ヘラクレス・ザールでの録音。
おでんとツイッターやってます!シティ。
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