ベートーヴェン「ヴァイオリン協奏曲」 ハーン(Vn) ジンマン指揮 ボルティモア交響楽団ヒラリー・ハーンの弾くベートーヴェンを聴く。
繊細で優美なヴァイオリンは相変わらず。音色は肌理が細かくてしっとり、細部まで手の行き届いた工夫も怠らない。スケールこそ大きくないものの、ヴァイオリンという楽器の美質を遺憾なく発揮している。
こういうヴァイオリンは、ミルシテインの後期を思い出す。
ジンマンのオケは、良く言えば雄弁、悪く言えば出しゃばり。必要以上に強いアタックや、ヴァイオリンの音をかき消すような強音で自己主張する。アクが強烈。シンフォニーならばいいかもしれないが、この音楽のオーケストラ演奏としてはそぐわない気がする。
よって、このディスクはハーンのヴァイオリンのみを聴くためのもの。
カデンツァはクライスラー。
1998年2月、ボルティモア・シンフォニー・ホールでの録音。
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