ショパン 「24の前奏曲」 クラウディオ・アラウ(Pf)今日は午後に散歩がてらビールを買い込み、書斎に籠っていた。
クナッパーツブッシュのワーグナーをおもむろに取り出し、妄想にふけりながら聴いていたが、「トリスタン」の前奏曲の部分に差しかかって、座ったままうたたねをしてしまった。時間にして5分くらいだったものの、気持ちよかった!
休日は昼寝に限りますなあ。
そのあと、気を取り直して、今週聴き続けているアラウのショパン「24の前奏曲」を改めて聴く。
ごつごつとした手触りがあるものの、よく聴くと細かなニュアンスをつけていてとても繊細な演奏だ。
テンポをゆっくり目に設定し、ひとつひとつの音を味わうように、手つきはじつに丁寧。低音はがっしりとしていて、高音は煌めいて美しい。この曲でよく聴くポリーニ(旧盤)やアルゲリッチよりも音はあきらかに綺麗だ。
ショパンの演奏にありがちな甘い雰囲気は薄く、すべてを白昼のもとにさらしたようなピアノ。
バッハの平均律は旧約聖書、新約聖書はベートーヴェンのソナタあるいはこの曲と例えられることがある。
スケールから言えば当然ベートーヴェンのほうが釣り合いそうだが、ショパンの音楽もこういう演奏だと、こちらが新訳聖書といってもいいくらいの威容がある。
1973年4月、アムステルダムでの録音。
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