ズスケ弦楽四重奏団の演奏で、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲15番を聴きました(1977年4月、ドレスデン、ルカ教会での録音)。
彼らの演奏で、約一ヶ月前に「14番」を聴きました。柔らかくて、コクがあって、適度な粘り気があって、合奏が精緻。
ベートーヴェンの最高傑作に「14番」を推す方は少なくないと思います。異論はありませんが、好きなのはこの15番です。後期特有の深淵さに加えて、親しみやすい温もりがあるところが。
1楽章ソステヌート-アレグロ。4つの楽器が絶妙なバランスで響きます。溶け合う音がこよなく美しい。
ズスケのヴァイオリンは要所でポルタメントをきかせて効果的。
2楽章アレグロ。ふくよか。温もりのある幸福に包まれているかのようです。とても節度をもって、喜びをあらわしています。ヴァイオリンもいいけれど、朗々と歌うビオラ、豊潤なチェロも特筆。
3楽章アンダンテ。「リディア旋法による、病より癒えたる者の神への聖なる感謝の歌」と題された、至高ともいえる音楽。
4楽章ヴィヴァーチェ。これは経過句ともとれる楽章ですが、演奏は骨太で気品が匂い立ちます。
5楽章アレグロ-プレスト。緊密な合奏でもって、透明感を湛えた悲しみの音楽を、走り抜けます。
カール・ズスケ(第1ヴァイオリン)
クラウス・ペータース(第2ヴァイオリン)
カール・ハインツ・ドムス(ヴィオラ)
マティアス・プフェンダー(チェロ)
パースのビッグムーン。
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