ズスケ弦楽四重奏団の演奏で、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲3番を聴きました(1977年、ドレスデン、ルカ教会での録音)。
ズスケSQのベートーヴェンは、バラで販売されているものをいくつか購入して聴いたことがあります。どれも、とびきり素晴らしい演奏。安定感で言えば、今まで聴いたどの四重奏団と比べても、ひょっとしたら最上位にくるかもしれない。だから、この全集をじっくり聴きたいと思っています。
カール・ズスケは天才です。メンデルスゾーンの弦楽八重奏曲をお聴きになりましたか? あの天空を舞うような世にも美しいヴァイオリンを。あんな演奏ができるソリストは、そうそういないでしょう。そういう人物が、第1ヴァイオリンに座っている。
この曲は、とても愛らしい音楽。2番とともに、屈託の少ない、明朗なベートーヴェンです。
1楽章は、冒頭の、第1ヴァイオリンによるメロディーから魅せられます。とても穏やかな、秋の空のような調べ。4人によるハーモニーも完璧に合っているし、自然で柔らかい。木の香りがします。最後のトゥッティは、信じられないほど美しい。
2楽章は、とても牧歌的な音楽。とても丁寧に弾かれた演奏です。精巧でありながら、瑞々しい。
3楽章。不思議な膨らみのある曲、これをズスケの4名は肌理細かく演奏しています。自然につけられた抑揚が、すんなりと身体に沁みこみます。
4楽章は、まるで天使の舞踏のような音楽です。ヴァイオリンは軽やか、チェロは落ち着き払っていてバランスがいい。とてもイキイキとしていて、気持ちがいい演奏です。
カール・ズスケ(ヴァイオリン1)
クラウス・ペータース(ヴァイオリン2)
カール=ハインツ・ドムス(ヴィオラ)
マティアス・プフェンダー(チェロ)
パースのビッグムーン。
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