ジュリアード弦楽四重奏団の演奏で、ベートーヴェンの「大フーガ」を聴く(1982年、ワシントン、アメリカ合衆国国会図書館クーリッジ・ホールでのライヴ録音)。
13番を抜きに、あえて「大フーガ」のみを聴いてみる。
この曲の演奏を、そう多く知っているわけではない。でも、今まで聴いたなかで、「完璧さ」という点では、このジュリアード盤は抜き出ているようだ。
もちろん、この曲にはアルバン・ベルクSQ、ラサールSQ、イタリアSQ、バリリSQといったいろいろな意味で強力なディスクがあるが、こと完璧さにおいては、これが優っている、と感じる。
それはオーケストラで言うと、70年代から80年代にかけてのシカゴ交響楽団を想起さす。少しひんやりとした肌触りも、似ている。
ただ、技術的に完璧だからといって、演奏そのものの高さがどうかといえば、比例しない場合もある。確かにあるが、技術的な完璧さの美しさといったら、これはなににも替えがたいとも思う。
とくにこの録音は、ロケーションがあまり良くなくて、残響に乏しい。なので、ほんのちょっとした音程の狂いは、すぐさま聴き手に伝わる。それがこうしてディスクになってしまうと、何度も聴けるわけだから、リスクは大きい、にも関わらず、この演奏のレベルは相変わらず高い。
ショルティ/シカゴ響と同じように、好き嫌いはあるだろうけれど、こんな演奏を聴かされたら、取りあえず唸るしかない。
ロバート・マン(第1ヴァイオリン)
アール・カーリス(第2ヴァイオリン)
サミュエル・ローズ(ヴィオラ)
ジョエル・クロスニック(チェロ)
屋根の上のパーティ。
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