アンドラーシュ・シフのピアノで、シューマンの交響練習曲を聴く(1995年1月、オーストリア、シュロス・モンデシーでの録音)。
シューマンのこの曲には遺作の5曲があり、それらの扱いがピアニストによって異なるところが面白い。
遺作を入れていないのは、ルービンシュタインやポゴレリチ。まとめて入れているのはリヒテルやポリーニ。ばらして挿入しているのはアシュケナージ。順番を変えて入れているのはキーシン。
そして、5曲の遺作を、フィナーレの後に導入しているのが、このシフ。
このやり方は、遺作があたかも別の作品であるようで、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲における「大フーガ」を思い起こさせる。
だから、いつものように花火大会のような派手な終わり方をしない。煌めく星空のような余韻を残しつつ、消えるように終わる。
遺作の5番ほど、清冽で幻想的な音楽は、そうそうない。この世でもっとも好きな曲のひとつ。
これがフィナーレとなっているので、曲に対するイメージがガラッと変わる。衝撃的ですらある。
屋根の上のパーティ。
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