レーグナー指揮ベルリン放送交響楽団の演奏で、チャイコフスキーの「眠りの森の美女」抜粋を聴く(1980年11-12月、ベルリン・キリスト教会での録音)。
これでやっと、レーグナーによるチャイコフスキー三大バレエを全て聴いたことになる。それぞれ全曲ではなく抜粋であるが、40分から50分程度収録されているので、そこそこ聴きごたえはある。
ここでのレーグナーは、「白鳥の湖」や「くるみ割り人形」以上に、淡い水彩画のような音世界を聴かせてくれる。
オーケストラは当時東ドイツに所属していたほうの放送オケだが、この難しい曲を難なく弾きこなしている。「踊りの情景」における、弦楽器の艶やかな響きがおいしい。「行進曲」での木管楽器の速いパッセージは見事。有名な1幕の「ワルツ」は豪奢な音の洪水。「オーロラ姫とデジーレ王子の情景」でのソロのチェロはコクが深い。
レーグナーは、曲によって大きくテンポを変えている。先に挙げた「ワルツ」、ヴァリアシオンの「リラの精」は、場面によってとてもゆっくりとしていて驚く。このあたりは、振付によっては実際のバレエにも合うように感じる。
ないものねだりだが、やはり全曲を聴きたかった。
屋根の上のパーティ。
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