ゲヴァントハウス弦楽四重奏団の演奏で、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲8番「ラズモフスキー2番」を聴く(2002年2月の録音)。
切っ先鋭く、決然とした出だしであるが、響きそのものにコクが香っているから、いきりたった感じはしない。堂々とした構え。
各声部は明確に聴こえ、迷いがなく、しっかりと力強い。冒頭の数十秒で勝負あった感じ。
1楽章はシリアスな音楽。長調と短調が入れ替わるところ、その表情の移り変わりはいたって自然であり、滑らかに仕上がっている。
2楽章は、ツェルニーが「星のきらめき」と評したと云われる楽章。エルベンのヴァイオリンは、呼吸がたっぷりと深くて、音は艶やか。しなやかに幻想世界を演出している。
3楽章は、ベートーヴェンが書いたもっとも面白いスケルツォのひとつ。ゲヴァントハウスの演奏は軽快。ロシア民謡を引用したトリオは、ユーモラスな味を添えて奏している。
4楽章プレストは、速いなかに細かなニュアンスを含ませていて表情が豊か。4名の技量は高いし、音量のバランスがいいから、聴いていて気持ちがいい。
フランク・ミヒャエル・エルベン(ヴァイオリン1)
コンラート・ズスケ(ヴァイオリン2)
フォルカー・メッツ(ヴィオラ)
ユルンヤーコプ・ティム(チェロ)
パースのビッグムーン。
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