ラドゥ・ルプーのピアノで、ブラームスの「主題と変奏」を聴く(1981年7月、ロンドンでの録音)。
この曲は、弦楽六重奏曲1番の2楽章のテーマに基づいて作られている。映画でも有名になった、甘くも切ないメロディー。
ルプーはデビュー当時に「千人にひとりのリリシスト」と評された。この録音でも、こよなく瑞々しいピアノを聴かせてくれる。
テクニックもとても高い水準。派手さはないのだけれど、両手のバランスが絶妙であり、かつ強弱の塩梅がほどよい。繊細なタッチから紡ぎだす響きに酔いしれる。
かつて彼の手による、シューマンのコンチェルトをオーチャード・ホールで聴いた。曲は異なるものの、音楽に対するデリケートな触れ合いかたと真摯な情熱を思い起こさずにいられない。
パースのビッグムーン。
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