ゲヴァントハウス弦楽四重奏団の演奏で、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲9番「ラズモフスキー3番」を聴く(2002年1月-10月の録音)。
これは、ふうわりとした膨らみがあって、手触りが優しい演奏。
ベートーヴェンの弦楽四重奏曲は、このゲヴァントハウスと並行して、エマーソンのものを聴いているけれど、まあ全然違う。剃刀のように鋭利なエマーソンと、ほんわかと牧歌的な味わいのあるゲヴァントハウスと。
どちらもいい。捨てがたい魅力がある。
1楽章は緻密な和音による序奏から、勢いのある主部へ。ゲヴァントハウスは響きそのものに温かみがあって、ベートーヴェン中期特有の攻撃的なところは影を潜めている。
2楽章は、ピチカートのリズムにのって、陰鬱なメロディーが展開される。中年男(といっても、ベートーヴェン30代半ばだけど)のメランコリーだろうか。
3楽章は、落ち着いた佇まい。ゲヴァントハウスの演奏はひろびろとしていて、温厚で、いきり立ったところが微塵もない。できることならば、ジンセイ、こうありたいもの。
4楽章は、快速。速いけれども、音符のひとつひとつを正確に弾いていて、各パートがはっきりと聴き分けられる。キメの細かな音色がとても心地よい。
フランク・ミヒャエル・エルベン(ヴァイオリン1)
コンラート・ズスケ(ヴァイオリン2)
フォルカー・メッツ(ヴィオラ)
ユルンヤーコプ・ティム(チェロ)
パースのビッグムーン。
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