ロストロポーヴィチ指揮ロンドン・フィルの演奏で、チャイコフスキーの交響曲3番「ポーランド」を聴く(1976年-77年の録音)。
この全集を、中学生のときに図書館でLPを借りて聴いたのだが、2,3とマンフレッドは記憶にない。まだ、それらの曲が馴染んでいなかったのだ。
その後、バーンスタインやオーマンディ、アバドなどの指揮でチャイコフスキーのシンフォニーも全部を聴いて、面白く思えるようになった。でも、「ポーランド」を好きになるのは、一番最後だった。
そんなわけで、長い時を経て改めてロストロポーヴィチ盤を聴くと、やはりある種の趣きがある。作曲家に対する、溢れんばかりの愛情を感じる。
1楽章の、オーボエのソロのなんて切ないこと。コーダは愉悦の速さ、オーケストラはしなやかで艶やか。時空を超えた北国に思いを馳せないわけにいかない。
2楽章はワルツ風。チェロによって奏されるメロディーがロマンティック。西欧の香りへのあこがれが濃厚。バレエ音楽のひとつみたいに愛らしい。
3楽章アンダンテは、寂寞とした世界が広がる。一転して第2主題は、おとぎ話の世界であるよう。
4楽章はめくるめく音響世界。フルート、オーボエ、クラリネットがすばやく飛翔する。ロンドン・フィルは滑らか。
5楽章はポロネーズ。華やかさのなかにスプーンひと匙のセンチメント。曇天のような、重さを湛えたオーケストラに味がある。
パースのビッグムーン。
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