クーベリック指揮ウイーン・フィルの演奏で、ベートーヴェンの交響曲7番を聴く。
この演奏、ほぼ同時期に録音された、C・クライバーの演奏とつい比較してしまう。
本ディスクは1974年9月、クライバーのは1975年11月から1976年1月。
同じオーケストラと同じロケーション、そして同じレーベルで同一曲をセッション録音するというのはなかなか珍しい。
しかも、両者ともヴァイオリンが対抗配置である。偶然にしてはよくできている。
クライバーが管楽器とティンパニを前面に押し出し、速めのテンポでぐいぐい推進するのに対し、クーベリックのはゆったり目、そしてこちらは弦楽器がとてもよくうねっている。
そう、この演奏は弦セクションが素晴らしい。艶やかな黄金色の光彩は、コクがありまろやか。ヴァイオリンが左右で呼応するところは実に目覚ましく(ここはクライバーもそうだが)、作曲家はこの効果を念頭に音符を記したのだろうと、思いを馳せずにいられない。
全体を通して、丁寧で折り目正しい。そのあたり、セッションのよさが出た録音だと思う。
4楽章最後の「タン、タタタン、タタタン」は、キチンと粒だっており、ここはクライバーより好き。
1974年9月、ウイーン、ムジークフェライン大ホールでの録音。
新年。
3月に絶版予定。。
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