イタリア弦楽四重奏団の演奏で、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲15番を聴く(1967年8月、スイスでの録音)。
この曲は、ベートーヴェンのなかで最も好きな曲のひとつ。だから、このイタリア四重奏団による演奏を楽しみにしていた。果たして、素晴らしい出来。
音色がまろやかで密度が濃い。そしてとても伸びやか。音が柔らかいところはバリリSQに似ていなくもないし、伸びのあるところは、東京SQを思わせる。
けれど、バリリと東京を足して2で割った、というわけではない。笑
1楽章は、慎重。ひとつひとつの音符に心を込める。聴き手も緊張せざるを得ない。
2楽章は穏やか。長年の激務をこなし終えて、一服している、といった感じ。
3楽章はゆっくり。件の「リディア旋法による、病より癒えたる者の神への聖なる感謝の歌」である。19分32秒をかけているから、同曲異盤中で最長クラスじゃないか知ら。
威容よりも慰め。なんて優しい音楽。もっと遅くてもいいくらい。
4楽章は朗らか。ほっこりしていて明るい。
5楽章は柔和。音楽そのものはシリアスだが、弦の切っ先が丸い。柔らか。テンポはやはりゆっくりしていて、一歩一歩大地を踏みしめている感じ。
15番、これも素晴らしい演奏。
パオロ・ボルチャーニ(ヴァイオリン)
エリサ・ペグレッフィ(ヴァイオリン)
ピエロ・ファルッリ(ヴィオラ)
フランコ・ロッシ(チェロ)
パースのビッグムーン。
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