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"パンセ"から"成長と変化"、マゼール、ベルリオーズ"レクイエム"

2013.01.20 - ベルリオーズ

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ベルリオーズ 「レクイエム」 マゼール指揮クリーヴランド管弦楽団、他



「子供のときにあれほど弱かった人が、大人になってものすごく強くなるなどということがありうるのだろうか? じっさいには、たんに外見が変わったにすぎないのだ。進歩によって完成したものは、すべて、進歩によって滅びるのだ。弱かったものが絶対的に強くなるなどということは断じてありえない。≪彼は成長した、彼は変わったのだ≫というが、それは嘘だ。彼は昔の彼なのである。」
(パスカル「パンセ」断章88 鹿島茂訳)






マゼールのベルリオーズをLPで聴く。

端正でかつスケールの大きい演奏だ。
この時代のマゼールらしく、弦も管もキッチリと縦に揃えられていて、合奏の精度は極めて高い。「怒りの日」では8対のティンパニを始め、東西南北に配置されたブラスバンドがさく裂するが、全体の流れが自然なために、突出した感はなく、むしろこの大音響は必然だと思わされる。実際にそのように意図して作曲されたのだろう。
とりわけ、「サンクトゥス」の「ホザンナ」のフーガは感動的。男声合唱が力強いし、リーゲルの硬質な声がオケの音色に合っている。情に溺れることのない冷静な解釈であるが、それが純度の高い音楽となって耳にすんなりはいってくる。

解説によれば(あるいは世評によると)ベルリオーズはあまり熱心なカトリック信者ではないという説があるが、この音楽を聴く限り、それは誤解なのじゃないかと思う。
また録音もいい。この大編成の音楽で、音がビビるところがない。

三大レクイエムとして、モーツァルト、ヴェルディ、フォーレのそれがあげられることがある。しかし私はフォーレではなく、このベルリオーズを取りたい。完成度の高さも真摯さもこちらが上だと思う。


クリーヴランド合唱団
ロバート・ペイジ(合唱指揮)
ケネス・リーゲル(テノール)




1978年8月、クリーヴランド、メイソニック・スタジアムでの録音。










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Comment

無題 - Yuniko

ポンコツスクーター様こんばんは。
これはなつかしいマゼールのベルリオーズ「レクイエム」。私もLPで所有しています。高1の春休みに買ったかなと思います。
買ってさっそく聞いてみたのですが、高1には難解すぎ、長すぎましたね(当然)。
細かいところは覚えていないのですが、子ども心にもクリーヴランド管の音色がとても爽やかに感じたことと「トゥーバ・ミルム」の大編成の金管群が少しもうるさくなかったことを覚えています。
記事を見て「へぇ~~」と思ったのですが、暑い季節の録音なのですね。「アルルの女」や「第9」がほぼ同時期の録音ですね。
残念ながらCD化はされていないようですね、この演奏。
発売は、1979年の11月だったと思いますが、レコ芸・ステ芸等に掲載された宣伝文が「ベルリオーズ全曲録音の掉尾を飾る傑作!」でした。でもマゼールって、「幻想」「イタリアのハロルド」「レクイエム」「ロメオとジュリエット」「ローマの謝肉祭序曲」しか録音していないはずだけど・・・・まあでも、ベルリオーズの有名どころはカバーしていますね。
一昨年、ソニーからマゼールのBOXセットが発売されたので(ニューイヤーコンサートやパリの喜び、マーラーなどが欠落しているのが不満ですが)、ユニバーサル(デッカ、フィリップス、DG)からもマゼールBOXが出ないかと期待しているのですが・・・・。ユニバーサルにも60年代から80年代にかけての名演が多く残されていますからね。
2013.01.20 Sun 23:42 [ Edit ]

これはいい曲です。 - 管理人:芳野達司

Yunikoさん、こんばんは。
ベルリオーズ「レクイエム」を高1で買われましたか。さすがです。ワタシは経済的にも気持ち的にも、この曲は学生時代に聴く気にはなりませんでした。この曲を面白く聴くことができるようになったのは、ここ10年くらいのことです。
そうそう、この演奏は、大ブラスが響き渡るシーンでもうるさく感じません。とても自然に、すんなりと耳に入ってきます。
「アルルの女」や「第9」とほぼ同時期でしたか。あれらの演奏のように、ポキポキしたところはあるものの、広がりがあってスケールの大きい演奏だと思います。
マゼールは「ファウスト」とか「テ・デウム」や「キリストの幼児」は確か録音していませんでしたね。これから録音するというのはちょっと考えづらいものがありますが、聴いてみたかったものです。
ユニバーサルからのBOXセット、ワタシも期待しています。ことにデッカでの録音は全部聴いてみたいですね。
2013.01.21 20:55

御無沙汰してます - yokochan

こんばんは。
落ち着かれましたでしょうか。
ベルリオーズのレクイエムは大好きでして、レコード時代のマゼール盤にはずっと憧れてきな思いを持ってました。
大音響のこけおどしでなく、真摯な祈りに満ちた曲と思いますが、マゼールはきっとそんな演奏なのではと、いまだに想像してます。
ジャケット画像も懐かしく、コメントさせていただきました。
2013.01.21 Mon 00:16 URL [ Edit ]

こちらこそ、御無沙汰しております。 - 管理人:芳野達司

yokochanさん、こんばんは。
年末年始にかけて、引越やら転職やらでバタバタしていましたが、少し落ち着きました。都内に住み始めたものの、職場が若干遠いのは少しツラいものがありますが…。

ベルリオーズのレクイエムはよいですね。このレコードは昔からあこがれのひとつだったのですが、先日ヤフーのオークションで入手しました。価格が安いことが決め手だったのですが、新品だったので、とても満足しています。
拙宅のレコードプレイヤーは安物ですが、それでも(ワタシにとっては)いい音を出してくれます。
2013.01.21 21:00

デイビスのライブ - neoros2019

偶然ですが昨日と今日クルマの中でライブ録音のデイビス/ドレスデン(1994)盤を繰り返し聴きながら運転していました
いつかフルボリューム全開でこれを鳴らす装置とオーディオルームを手に入れたいものです
多分クラシック音楽史上最大の音圧を有する合唱を伴った超大編成オーケストラ作品ですよね
2013.01.22 Tue 22:36 [ Edit ]

それも聴いてみたい! - 管理人:芳野達司

neoros2019さん、こんばんは。
車でレクイエムですか。シブイですね。
デイビスはこの曲を3回録音しているそうですが、どれも聴いたことがありません。ただ彼とドレスデンとの相性は良いので(シューベルトの交響曲全集が素晴らしかった)、いい演奏なのでしょうね。
生で聴く機会はなかなかないですが、いつか聴いてみたいものです。
2013.01.23 20:41
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