ベルリオーズ:ファウストの劫罰 ナガノ指揮 リヨン歌劇場管弦楽団クエンティン・タランティーノ監督の「ジャンゴ 繋がれざる者」を観る。
舞台は南北戦争直前のアメリカ南部。元奴隷の黒人と元歯科医の白人がコンビを組んで賞金稼ぎをしつつ、黒人の妻を奴隷商人から連れ戻すという話。
ディカプリオの悪役ぶりがみたくて足を運んだようなもの。レオ様は存在感はあるけれど、もっと悪い奴でもよかったように思う。イケメンだから分が悪いのか。
それに対し、同じ悪役のサミュエル・L・ジャクソンは、顔が怖すぎてスゴい。彼はどこからどうみても悪役という感じ。
ラストの壮絶な撃ち合いは、見ごたえがある。2時間半を超える大作だが、時間を忘れた。
ケント・ナガノの指揮でベルリオーズの「ファウストの劫罰」を聴く。
先日に聴いた活発なチョンの演奏とは違い、こちらは抒情性を前面に押し出したアプローチを行っている。
残響は多めにとってあり、それが豊満な響きを醸し出している。角がとれた丸い音色がおいしい。
オケは思っていたよりも重厚な音で迫りくる。木管・金管楽器にはコクがあり、弦楽器からは木の香りがする。どっしりとして落ち着いた雰囲気がある。
歌手陣も揃っている。モーザーをはじめとして、レヴェルの高い安定した歌唱を聴かせる。3幕のグレアムのアリアはじつに美しい。
ただ、フランス語をぜんぜんわからないくせに、こういうことをいうのも何だが、発音に関してはチョン盤のほうが風情があったような気がする。
合唱は精密。とろけるように柔らかなハーモニーが美しい。
管弦楽、合唱ともによく訓練されている。細部に微妙なニュアンスをつけたナガノの指揮も卓越している。
チョン盤をとるか、このナガノ盤をとるかは好みだろう。
リヨン歌劇場合唱団
スーザン・グレアム(MS)
トーマス・モーザー(T)
ホセ・ファン・ダム(BR)
フレデリク・カトン(BS)
1994年10月、リヨン歌劇場での録音。
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