シューマン:交響曲第3番 ジュリーニ指揮 フィルハーモニア管弦楽団芥川龍之介の「或旧友へ送る手記」を読む。
これは彼の遺書とされている作品。
直近の2年ばかりは死ぬことばかりを考えていたという。ドイツの哲学者マインレンデル(マインレンダー)に影響を受けたと書かれている。この哲学者は「死の哲学」を記したことで有名であり、学生時代に読んだ入門書に紹介されていたのを覚えている。この哲学者、興味はあるが読んだことはない。
さて、芥川はこの作品のなかで、どういう死に方がいいのかを語っている。
縊死や溺死、轢死には「美的嫌悪」を感じて、まずNG。ピストルやナイフは手が震えて失敗する可能性が高い。ビルのうえから飛び降りるのも見苦しい。といった消去法の結果、彼は服毒自殺を選んだ。睡眠薬の多量摂取が原因だという説が強い。
ただ、現在使用されている睡眠導入剤は安全なので、大量に飲んでもまず死ぬことはできないらしいのでご注意。
ジュリーニの指揮でシューマンの「ライン交響曲」を聴く。
「ライン」といえば、ジュリーニがロス・フィルを振った録音がマイ・ベストだが、最初の録音であるこちらもいい。
基本的なアプローチは新盤と同様であり、テンポも表情もよく似ている。夏の陽光のような輝かしい響きも。
こちらのほうは、録音の古さがあったり、オケのアンサンブルが全体的にささくれだっていたり(録音の古さに付随していると思うのだが)、若干力みがあるかな。逆を言えば元気があるということだけど。
木管楽器のよく歌うところはジュリーニらしくて素晴らしい。あと終楽章の出だしがレガートで入るところがステキだ。これは新盤も同様であるが、若いころからここに拘っていたのだなあと思うと、感慨もひとしおなのだった。
1958年6月、ロンドン、キングズウェイ・ホールでの録音。
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