シューマン 「交響練習曲」 ピエール・ロラン・エマール(Pf)エマールのピアノでシューマンの「交響練習曲」を聴く。
このピアニストの評判はかねがねきいていたけど、じっくり聴くのはこれが初めて。
好きな曲なだけに、ハードルは高い。
ピアノの音色はこってりとしていて濃厚。出だしの主題のテンポはゆっくり目であり、これは好みであって、期待が高まる。
続く変奏曲もテンポは中庸であり違和感がない。ピアノはやや粘着質で、ねっとりとからみつくような音。
問題となる遺作の5曲は、練習曲の7曲目と8曲目の間に挟んでいる。これは自然な流れであり、他の練習曲との流れを断ち切らない。妥当な選択だと思う。
遺作の中でも特に好きな5番。広い残響を生かして、ほんわかとした幻想的な雰囲気を醸し出している。
この曲をカットする演奏もときどきあるが、もったいなさすぎる!
全体を通して、じつにまっとうな演奏である。ただ、ホールの響きがちょっと多い感は否めない。それがある意味、シューマンのロマンティックな側面を冗長しすぎてしまったかのように思える。
2006年5月、ウイーン、コンツェルトハウス大ホールでのライヴ録音。
PR