チャイコフスキー 「白鳥の湖」全曲 ゲルギエフ指揮 マリインスキー劇場管弦楽団江戸川公園の桜。明日は雨の予報なので、東京の桜は今日がピークになりそう。
桜のなかにひっそりと咲くオトメツバキ。
ゲルギエフの指揮でチャイコフスキーの「白鳥の湖」を聴く。
「マリインスキー劇場版」とあって、独特の選曲になっている。この曲を普段はスラトキンやプレヴィンやサヴァリッシュの演奏で聴くことが多い。それぞれ微妙に選曲が違うものの、このゲルギエフ盤はかなり違う。とくに後半。
2幕の「ヴァリアシオン」や、3幕の「ワルツ」と「アレグロ・モデラート」は、初めて聴いた。その代わりカットされている曲もあるようだ(具体的には調べられていないけど、全曲のタイムがスラトキンらと比べて短い)。
そういう目新しさはある一方で、演奏そのものはとてもドラマティックだ。テンポや強さの変化を大胆に行っており、この音楽の劇的な側面を前面に出している。ライナーによれば、ゲルギエフはバレエ音楽を指揮するときのリハーサルでは、実際に踊って見せるということらしい。ならば、これが現実的なバレエ付属音楽のテンポということになるのだろう。それでも機械的にはならないところが彼の手腕。
ことにいいのはヴァイオリンの合奏。すばらしく艶やかであり、肌理が細かい。オーケストラ全体をがっちりとリードしている。
ただ、全曲を通して聴くと、なにか物足りなさを感じる。カットされた曲(覚えていないのだけれど)がないせいかな。不思議な演奏である。
2006年5,6月、サンクトペテルブルク、マリインスキー劇場での録音。
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