ホロヴィッツ 名曲集渋谷区松濤のスパの火事。事故そのものはさほどめずらしいものではないが、新聞などの報道を見て改めて思ったこと。
被害者の情報は載せるべきではないと思う。
こういった事故だけではなく、毎日のように報道される殺人事件もそうで、容疑者の写真を掲載するのはいいとしても、被害者の写真を載せる理由がよくわからない。
台湾などでは、テレビのニュース番組で、被害者の顔にはモザイクがかかっている。被害者側に立った見識であり、しごくまっとうである。
ここ日本では、未成年の容疑者の顔は出さないくせに、未成年の被害者の顔は堂々と公開する。理由はなにかというと、視聴者や読者の好奇心をそそるから、としか考えられない。どうなのだろう。
被害者としてはまさに踏んだり蹴ったりである。ひどい話だと思う。
と、いきりたった気分を鎮めるには、目には目を(?)、ホロヴィッツのヴィルトゥオーソぶり。
彼のピアノは、ときにはっきりと下品に鳴らすことがあるが、このベルリオーズはその最たるものだ。
冒頭から、ピアノが壊れるんじゃないかと心配なくらいに打ち鳴らす。すきっ腹に響く低音からカナキリ声のような高音まで、まんべんなく品がない。
大道芸の最高峰を観るような気分にさせられる。今、こんなピアノを聴かせてくれるヒトはなかなか見当たらないし、いたとしてもここまでは吹っ切れるものではないだろう。
「ラコッツィ行進曲」には、ミュンシュやショルティやセルなど、ごつい演奏がいくつもあるけれど、ホロヴィッツひとりにかなわない。1人が100人に勝った、珍しい例である。
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