プレートル指揮ウィーン交響楽団の演奏で、ベルリオーズ『幻想交響曲』を聴きました(1985年、ウイーン、コンツェルトハウスでの録音)。
これは、丁寧なフレージングでもって瑞々しく歌われた演奏。また、細かなニュアンスの塩梅が心地よく、しっくりと腑に落ちます。
2楽章はテンポの変化が大きい。でも、やり過ぎの一歩手前で抑えられています。遊び心に満ちているところは、まるでウィーン・フィルのニューイヤー・コンサートのよう。
断頭台は大編成であろうブラスがよく鳴っており、たっぷりとした厚みを感じます。
鐘は音量こそ控えめなものの、繊細で透明度が高い。
ラストはアッチェレランドをかけ、疾風のように終結。
プレートルは、以前に聴いたゼッキやオッテルローのように声を荒げるようなやり方(それも大好き)はとりません。あくまで優しい眼差しでベルリオーズと対峙しているようで、この曲では珍しく、聴いて心温まるような感覚を受けました。
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