カルロ・ゼッキ指揮チェコ・フィルの演奏で、ベルリオーズ『幻想交響曲』を聴きました(1959年、プラハでの録音)。
ゼッキは元々シュナーベルらに師事したピアニストであり、とくにベートーヴェンとシューマンは絶品と評されたほどの腕前の持ち主だったそう。でも指を痛めて以降ソロは断念、室内楽の演奏と指揮に力を入れたと、ライナー・ノートに記載されています。
ゼッキという音楽家をピアニストとしてはもちろん指揮者としても聴いたことがないので、珍しくワクワクしながらレコードに針を落としました。
爆演とは、こういうものを指すのでしょうか。
1楽章の最後、こんなに金管を鳴らせた演奏を聴いたことがありません。大音響だけど、ピッコロが効いているから奥行きがある。
比較的オーソドックスな2,3楽章を経て、断頭台への行進。チェロ、コントラバス、ティンパニ、触れたら切れそうに鋭角的。金管群は金管軍と云わんばかり、力強く煌びやか。シンバルは華やかにして破壊力抜群。最後の音はスタッカートで勢いよくぶった斬ります。
5楽章もいい。クラリネットとファゴットとの重奏は速くて精緻。チューバはどっしりと厚い響き。
ラストに向けていろいろな音が飛び交いますが、ことごとく音が大きい。まさに音の洪水。最後はストコフスキーのようにサスペンデッド・シンバルの高笑いで締めくくられます。録音年代を考慮すると、ストコフスキーがこれを流用したのかも?
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