ユージン・グーセンス指揮ロンドン交響楽団の演奏で、ベルリオーズ『幻想交響曲』を聴きました(1959年5月、ロンドン、ウォルサムストウ・アセンブリーホールでの録音)。
ロンドン生まれのグーセンスは、20世紀半ばシンシナティ交響楽団やシドニー交響楽団の指揮者として順風満帆の活躍をしていました。しかし60歳を過ぎたある日、空港の税関で大量のポルノ写真を保持していたことが発覚。英国楽壇は問題視し、彼は事実上の引退に追い込まれたとのこと。
以上はWikiからの引用ですが、当録音は事件の後のもの。セッション活動は大丈夫だったのかな。
ま、いずれにしても他人事ではありません。気をつけましょう。
演奏は。
ゆったりしていて、おおらか。おおむねインテンポを保っているようであり、折り目正しさを感じます。4,5楽章はそこそこパワフルではある(鐘はデカい)けれど、羽目ははずさない。安全運転とも違う。淡い気品のようなものが匂い立つようです。
そんなわけでグーセンスは、まるでベルリオーズの偏執狂ぶりを演奏で諭しているよう。どこを叩いても立派な英国紳士といった佇まい。
幻想交響曲を聴いてこんなに穏やかでいられる演奏に接するのは初めてかもしれません。
グーセンス、深いなぁ。
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