ホグウッド指揮エンシェント・ミュージック・アカデミーの演奏で、ヘンデルの組曲「水上の音楽(ホルン組曲ヘ長調)」を聴きました(1977年4月、ロンドンでの録音)。
この曲には次のような逸話があります。
ヘンデルはハノーファの宮廷楽長であったにも関わらず、演奏旅行で訪れたロンドンに居ついてしまう。そののち、ハノーファの選帝侯は血の繋がりによって、イギリスの王となりジョージ一世を名乗ることになる。狼狽したヘンデルは、ジョージ一世のご機嫌とりに舟遊びのBGMとしてこれを作曲し、なんとか許しを得た。
でも後年の調査で、これは作り話ということが判明したのだそう。では真相はどうなのかというと、よくわからないらしい。
「水上の音楽」にはいくつかの稿があって、最初はホルンが活躍するもの、次はトランペット、そしてフルートによる組曲。それぞれの成立過程がはっきりせず、オリジナルの形態も不明。当録音は現存する楽譜を整理し、「ホルン組曲」を再現したものということです。
なるほど、ホルンが大活躍。ナチュラル・ホルンを採用しているのだろうか、素人耳からしても難しそうではある。音がひっくり返りそうになり、ギリギリ持ちこたえている場面がいくつかある。それでもなお、鄙びた音色の味わいは格別。古楽器による演奏としては比較的初期のものだと思うけど、いま聴いても新鮮な演奏だと言えましょう。
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