忍者ブログ

リヒテルとマゼールのプロコフィエフ「ピアノ協奏曲第5番」

2008.12.06 - プロコフィエフ


tchai

プロコフィエフ ピアノ協奏曲第5番 リヒテル(Pf) マゼール指揮ロンドン交響楽団


ジェームズ・アレンの『「原因」と「結果」の法則』(坂本貢一訳)を読む。
この著書を集約すれば、「環境は思いから生まれ出るものである」と「あなたの環境は、あなたの心を写す万華鏡です」という2つの言葉に尽きるのではないかと思う。
自分の見えている世界とは、自分自身の考えかたや行動次第なんだよと教えてくれるようだ。
この本は、このようなありがたい言葉に満ち溢れている。ただ、少々説教くさいことは否めない。
「そんなこと言われなくたってわかってるよ」というような記述も少なくないように思う。
本書のオビは、京セラ名誉会長による絶賛の言葉が載っているが、それほどのものか?
読み終わったとたんに、内容の大部分を忘れ去ってしまった。
そんなことだから出世しないのかな。


私にとってリヒテルのピアノは、アレンの本よりずっと刺激的な音楽による恵み。
曲の好みでいえば、同じCDに収録されているバルトークのほうが好きなのだ。味のあるいい演奏だと思うけど、プロコフィエフの演奏があまりにもいいので、こちらを書いてみる。
正直言って、この曲はそれほど好きではないのだけど、リヒテルのピアノとマゼールのオケがやたらにいい。
もう、驚くほどすばらしい。なんていきいきと冴え渡っていることだろう。
リヒテルといえばバッハやベートーベンなど古典派やそれ以前の音楽が痛烈でかつ定番のものだけど、近代物では以前にライブ放送で聴いたラヴェルが強烈な印象で、これはホントウに忘れ難いものだった。なので、プロコフィエフあたりもやるとは思っていたけど、まさかこれほどとは。
短距離奏者のような軽快さに、レスリング選手の敏捷さとずっしりした質感を併せ持つ。リズミカルでトリッキーなメロディーと、普段のぶっちょうヅラのリヒテルとはミスマッチと思いきや、実になんとも楽しそうに弾きこなしている。
特に楽しいのは1楽章。ピアノの千変変化の色合いといったらない。特に高音。弦の震えが眼前に迫ってくるようにリアルでなまめかしい、そして輝かしい。ピアノはこんなにも色彩があるのかと目から鱗だ。
それに加えて、ロンドン響のなんと雄弁なこと。ピアノに負けず劣らず華やかで、エネルギッシュだ。
あとに続く楽章もクォリティ高いけど、1楽章のボルテージは高すぎる。
冴え渡る技量にカンプクしました。

1970年、ロンドンでの録音。

PR
   Comment(2)   TrackBack()    ▲ENTRY-TOP

Comment

無題 - rudolf2006

吉田さま こんばんは

私たちが見ている世界というのは、私たちの脳の中のものを外に出したものであるのではないか、と私も最近思っています。見ているものを信じているのではなく、信じているものを見ている、とも言えるかもしれませんが〜。大学時代もそんなことばかり考えていたのですが、今頃になってもそんなことばかり考えている自分、これは環境を作り出しているのか、はたまた環境に影響されているのか、それは二者択一ではなく、自分の認識は他なるものに制約され、他なるものは自分の認識に制約されているのではないかとも、爆〜。
訳の分からないことを書かせていただきました。

リヒテルというピアニストを聞くきっかけを作ってくださったのは、吉田さんのこのブログではないかな、と思っています。プロコフィエフ、バルトーク、ほとんど聴いていないため、この演奏も聴いておりません。
でも、一度聴いてみたくなりました。

ミ(`w´彡)
2008.12.06 Sat 18:47 URL [ Edit ]

Re:rudolf2006さん、こんばんは。 - 管理人:芳野達司

コメントありがとうございます。

>私たちが見ている世界というのは、私たちの脳の中のものを外に出したものであるのではないか、と私も最近思っています。

なるほど。昔によく議論したのですが、自分の周りの世界は、自分が死んだらどうなるのか?ということについて、今と変わらないという意見と、なくなってしまうという意見に分かれました。
今でもよくわからないし、これからもわからなそうです^^

リヒテルといえば、バッハやベートーヴェン、それにシューベルトといった古典に定評がありますが、今回初めてプロコフィエフを聴いて、ぶったまげました。
これはすごく気合の入った演奏のようで、とくにピアノの音色がいいのです。
もっとも、考えてみれば同時代の作曲家なので、違和感はないのかもしれません。
2008.12.07 17:32

無題 - neoros2019

この録音は知りませんでした
ドイツ・オペラとのカルメンと同年の録音ならいい加減な演奏であるはずもなく、素材はなんであれこの頃のマゼールは、その素材にアナーキーな瞬間エネルギーを注入することのできる世界で唯一の瞬間芸術家といえましょう
2008.12.10 Wed 01:21 [ Edit ]

Re:neoros2019さん、こんばんは。 - 管理人:芳野達司

コメントありがとうございます。

このプロコフィエフ、リヒテルの技もさることながら、マゼールが指揮する切れ味のいいオケがすばらしいです。
これはオススメですヨ。

>ドイツ・オペラとのカルメン

実は、今聴いています。これは実に面白いです。近いうちに感想を書いてみたいと思います。
2008.12.10 21:56
コメントタイトル:
投稿者名:
Mail:
URL:
投稿内容:
Password: ※1
Secret: 管理者にだけ表示を許可する※2
※1 パスワードを設定するとご自分が投稿した記事を編集することができます。
※2 チェックを入れると管理者のみが見ることのできるメッセージが送れます。

TrackBack

この記事へのトラックバック
TrackBackURL
  →
カレンダー
10 2024/11 12
S M T W T F S
1 2
4 5 6 7 8 9
11 12 13 14 15 16
18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
ポチっとお願いします(´_`\)  ↓ ↓ ↓
最新TB
カテゴリー