カバリエの題名役、C・デイヴィス指揮コヴェントガーデン王立歌劇場・他の演奏で、プッチーニの「トスカ」を聴きました(1976年7月、ロンドンでの録音)。
今年の初聴きは甘くも悲惨なオペラ。
カバリエのオペラ全曲を聴くのは初めてかも? ベントレーのような強大なトルクをもちながら、かつ山野に佇む花のような可憐さを湛えています。小回りもスムース。
1幕のカヴァラドッシとの二重唱は懸命なカレーラスに比して楽勝の様子。この対比は面白い。
「歌に生き、恋に生き」とラストも圧巻。参りました。
カレーラスは気にしている歌手で、いわゆる三大テノールのなかではもっとも好み。よく言えばナイーブ、ちょっと悪く言えば弱々しいところに共感するのです。
このディスクでは「妙なる調和」以降、全編において好調、声の曲線的な流れに奥行きを感じます。
彼のドイツ語による歌唱はわずかしか残されていないようだけど、いまからでも「水車小屋の娘」を歌ってくれないかなぁ。
レイミーは若手売り出し中の頃だろうか、後年の歌唱より軽やか。
ヴィクセルは若々しく瑞々しいスカルピア。ドスの利かせかたは薄いので、この役柄だと少し物足りない感じはする。
デイヴィスの指揮は全体を通して、ややゆっくり目。緊迫感よりもおおらかな厚みを重視。これも一興。
オーケストラは文句なし。
トスカ … モンセラ・カバリエ(ソプラノ)
カヴァラドッシ … ホセ・カレーラス(テノール)
スカルピア男爵 … イングヴァール・ヴィクセル(バス)
アンジェロッティ … サミュエル・レイミー(バス)
堂守 … ドメニコ・トリマルキ(バス)
羊飼い … アン・マレイ(ソプラノ)
他
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