マタチッチ指揮スロヴェニア・フィルの演奏で、ブルックナーの交響曲7番(ノヴァーク版に基づいているそうです)を聴きました(1984年6月、スロヴェニア、カンカリエフ、大ホールでの録音)。
これは、2楽章がこよなく美しい演奏。
1楽章は、たっぷりとした遅めのテンポ。弦も木管も金管、そしてティンパニも一歩一歩を踏みしめるような歩み。聴き進むうちに、それがなんとも心地よくなってきます。
2楽章も呼吸が深い。厳かなワーグナー・チューバのあとに弦楽器群がそっと入るところは、幽玄と言ってもいいくらい。続く第2主題も含めて、まるで山水画のような浮世離れした音世界が滔々と繰り広げられます。山頂はティンパニ、シンバル、トライアングル。
3楽章は金管楽器の扱いが華麗でカッコいい。
終楽章の出だしは細かくテンポを変化させる味付けが軽快、続く第2主題の弦楽器は神妙。コントラストが面白く感じられます。全体的にはとても丁寧な仕上がり。
録音はじゅうぶん優秀。
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マタチッチの7番はチェコ・フィルのもののほうが有名だし、実際いい演奏だと思います。こちらは初めて聴きましたが、しみじみよかった。なにか鄙びた味があり、技術も高いし、バランスもいいと感じました。
リハーサルにはそんな情景が収録されているのですね。いい話です。