テンシュテット指揮バイエルン放送交響楽団の演奏で、ブルックナーの交響曲3番を聴く。
この曲は、ブルックナーが尊敬していたワーグナーに捧げられたので、昔は「ワーグナー」という副題がつけられていたが、今は流行らないようだ。
もともと2楽章以外は穏やかでない音楽であり、この演奏は激しい。そしてライヴならではの熱気が凄い。残響は多めに取り入れられており、雰囲気がいい。
1楽章はミステリオーソ。とはいえ神秘的なところは薄く、むしろテンシュテットによってなにもかもが白日のもとに晒されたよう。バイエルンのコクのある弦楽器がとても効果的。
2楽章はアンダンテ、クワジ・アダージョ。美しい曲である。昔、東京カテドラル大聖堂で朝比奈隆の指揮で聴いたことがあるが、普段ブルックナーを聴かない(母親を始めとする)ご婦人方が感激していた。ブルックナーが作った緩徐楽章のなかでも上位にはいると思う。
テンシュテットはゆるやかな抑揚をもたせつつ、しっとりと歌わせている。ロマンティックである。
3楽章はスケルツォ。勢いがいい。金管楽器は咆哮し、弦楽器は軋み、ティンパニはガッツリと響き渡る。トリオはリズムが弾む。
4楽章はアレグロ。3楽章と同様に威勢がよく、各楽器がよく鳴っている。
全曲を通して、バイエルン放送響のほどよく明るい厚い響きをじゅうぶんに堪能できる。ヴァイオリンは対抗配置のようだ。
解説に記載されているかわからないが(独語と英語なので。。)、ここで演奏されているのは第2稿ではないかと思う。
1976年11月、ミュンヘンでのライヴ録音。
ペドちゃん。
PR