見城徹と藤田晋の「憂鬱でなければ、仕事じゃない」を読む。
見城が提示したテーマに基づいて二人が2ページづつを割いて持論を展開する。字が大きいので、それぞれ原稿用紙2枚くらいだろうか。
常々、1時間そこらで読めるようなビジネス本はろくなものじゃないと勝手に思っているが、これはその例にもれない。ふたりのご意見は勢いがあって読みやすい。だが、藤田は見城の意見に追従しているだけなので、読み終えて残るのは、幻冬舎を成功させたという見城の自慢話だけである。
題名にインパクトがありすぎて内容がついていけていない。ありがちである。
お読みになるなら、図書館で借りるか、私のようにブック・オフで購入することをお勧めする。
マゼール指揮クリーヴランド管弦楽団の演奏で、ブラームスの交響曲4番を聴く。
これは昔から愛聴している演奏。ブラームスの交響曲を聴いて感動した初めての曲であり、演奏である。最初に聴いたのは図書館で借りたLPでだったが、やがてそれではおさまらなくなり自分でLPを購入した。それからは大事をとって、中5年くらいあけて聴いている。
だから、この録音をCDで聴くのはこれが初めて。やはり、しみじみ、というかカリッといい。とても精緻な演奏。同じオーケストラを振ったセルの録音は、これに比べれば雑味がある。
全曲を通して、縦の線が合いすぎて音が短い。あたかもアメリカ海軍の一兵卒の髪型のようだ。だからスケールは小さいのだが、このスタイルを一貫して崩さず高い質を保ちながら最後まで貫き通すという、偏執狂ともいえるこだわりに参ってしまう。ムラヴィンスキー/レニングラードでさえ、ここまでの高みに達せられるかどうか。
2楽章のホルンはマイロン・ブルームだろうか。ファゴットやクラリネットと絡み合うところ、初夏の夕陽のように美しい。
3楽章のティンパニの張りは、まるで赤ん坊のほっぺのよう。ぱっつんぱっつん。
ラストは弦楽器群のシリアスな合奏と乾いた金管群とが相俟って、ドライで冷やかな締めくくり。
改めてCDで聴いても、やっぱりいい。
ただ録音状態は、褒めるほどじゃない。
1976年10月、クリーヴランド、メイソニック・オーディトリアムでの録音。
昼下がりのレストラン。
在庫がなく、ご迷惑をおかけします。
5月下旬に重版できる予定です。
「ぶらあぼ」4月号に掲載されました!PR