若林暢のヴァイオリン、キャスロン・スタロックのピアノで、ブラームスのヴァイオリン・ソナタ1番「雨の歌」を聴きました(1991年7月、ハイゲイト、聖ミカエル教会での録音)。
元上司の娘さんが師事していたのが若林さん。その関係で、若林さんの実演を一度ですが聴くことができました。ヴィヴァルディの「四季」とメンデルスゾーン「八重奏曲」。前者はソロ。ガッシリと太くて濃厚な響き、それでいて夏の花のような可憐さをも併せもったヴァイオリンに、今まで聴いたことのないような印象を受けました。
彼女のブラームスを聴いてみたいと思っていた数年後に中古屋で見つけたのがこのCD。とりわけ、1番を気に入りました。手厚い音色は実演の通り、ところどころに、晩年のミルシテインもかくやと感じさせる美音を醸し出しています。フレージングはなめらか。凛としたブラームスです。
彼女はメジャーな存在ではなかったかもしれない。そして若くして亡くなってしまったが、こんなに素敵な演奏を遺してくれた。ずっと記憶に残るであろうヴァイオリニストです。
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