近所のお寺の桜。
彩りが面白い。
オイストラフのヴァイオリン、クレンペラー指揮フランス国立放送局管弦楽団の演奏で、ブラームスのヴァイオリン協奏曲を聴く。
この演奏は、パールマン/ジュリーニ盤、シェリング/ドラティ盤、ミルシテイン/ヨッフム盤、あるいは同じヴァイオリニストがセルとやった演奏などとともに、昔からよく聴いていた(評判がいいハイフェッツやヌヴー、デヴィートは、ピンとこなかった)。
最近は、グリュミオ―/ベイヌム盤、ムター/カラヤン盤、そしてフランチェスカッティとバーンスタインの演奏をよく聴いている。実演ではハーンがサロネンのオーケストラで弾いたものがとてもよかった。そう、フェラスがカラヤンとやった録音も、なかなかだった。
この曲を好きなので、機会があればわりと積極的に聴いている。グリュミオ―とフランチェスカッティはなにしろ音がきれいだし、ムターは迫力満点。ついでにコッホのオーボエも最高。
そんななか、はて、オイストラフの演奏はどんなだったかなと思い、ごそごそ取り出してみた。
のっそりとした序奏が終わると、空気を切り裂くようにヴァイオリンが登場する。ここは、全曲のなかでも白眉のひとつだ。堂々としており、切れ味も鋭い。
オイストラフの音は太い。太いが、美しい。テンポも強弱も適切につけているから、自然な抑揚が生まれている。
テクニックも申し分ない。その気になれば、パガニーニのコンチェルトやツィゴイネルワイゼンだって弾いただろう。パールマンのように楽々と。
普段はそっけないクレンペラーの指揮は、ここでは熱い。とくに終楽章では随所でティンパニを強打させている。木管楽器もぐいぐいと前面に出てくる。高揚感がある。
クライマックスで、オイストラフは強烈な押し出しをみせつけて、快感にとどめをさす。
うーん、やはりオイストラフはいい。
後年にセルとやったものは、何故かこの演奏ととても似ている。どちらか持っていればいいような気もする。モノラル時代の録音はまだ未聴。いつか聴いてみよう。
1960年6月、パリ、サル・サグラムでの録音。
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