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スターンとオーマンディのブラームス「ヴァイオリン協奏曲」

2009.08.29 - ブラームス


Br

ブラームス ヴァイオリン協奏曲 スターン(Vn)オーマンディ指揮フィラデルフィア管


永井均の「子どものための哲学対話」を読む。
中学二年生の『ぼく』と猫の『ぺネトレ』との哲学的対話。「人間はなんのために生きているのか?」なんてことを、ペネトレと『ぼく』が答えを探ってゆく。
「元気が出ないとき、どうしたらいいか?」との問いには、ペネロペがうまい答えを用意している。
「いやなことほど、心の中で何度も反復したくなるし、いやな感情ほど、それにひたりたくなるんだよ。わすれてしまうと、自分にとってなにか重大なものが失われてしまうような気がするのさ。」
そんなときはどうすればいいの?という『ぼく』の問いに、
「そういうことに、自分自身のやりかたを発明するってことが、おとなになるってことなんだよ。」
おまえは加藤諦三かっ!
というわけで(?)子どものためのといっても、ヘタな新書よりも内容は濃い本なのであった。


スターンとオーマンディのブラームス。
スターンのヴァイオリンは、中低音域に重きを置いたもの。松脂が飛翔する様が見えるよう。
音そのものは弟子にあたるズーカーマンのほうが伸びがあって美しいと思うが、キレのよさではスターンも負けていない。
スターンのブラームスといえば最後に入れたメータとの録音のほうがどちらかといえば有名かもしれないが、こちらのほうが若々しい覇気があってよいように思う。
オーマンディのオケは素晴らしい。全体的に木管をやや強調したバランスになっていて、それが透明感と立体感を生んでいる。とても見通しの良いブラームスだ。
なかでも、2楽章のオーボエは軽やかさに風格を兼ね備えたもので、今まで聴いた中では、ムターとやったカラヤン/ベルリン・フィル、グリュミオーとのベイヌム/コンセルトヘボウ管に比肩する。
明瞭さとスケールの大きさにおいて、この曲の多くの録音のなかでもトップクラスの演奏じゃないかと思う。
録音もいい。これが本当に50年代のものなのか?

1959年11月2日の録音。


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Comment

無題 - rudolf2006

吉田さま こんにちは

永井均さんの著作は読んだことがありません。
ニャンコが中2の子に教えるという対話になっているんですね〜。以前『ゾフィーの世界』という本が流行ったことがありましたよね〜。ちょっとそれを思い出しました。
「いやなことに対処する方法を発明することが大人になること」だとしたら、私はまだ大人には成れていないことになります、爆〜。

スターンのこの演奏、私も持っております。メータとの協演盤も珍しく持っていたと思います。オーマンディ師との協演盤の方が後で買ったものだと思います。
スターンもこれくらいのときは全盛期であったのかもしれませんね〜。両方の演奏を持っているのは非常に珍しいことです。フィラデルフィアのオーボエは、ドゥ・ランシエさんという名手の演奏ではないかと思います。いわゆるアメリカンということで、日本では忌み嫌われていますが(爆〜)、私は上手いと思いますね〜。2楽章の木管のアンサンブルも最高の部類の演奏だと思います。
グリュミオーの演奏も、吉田さんの記事を読んで買って、あまりに素晴らしい演奏に驚いてしまいました〜。
名曲には名演奏が多数ありますよね〜。

ミ(`w´彡)
2009.08.29 Sat 15:18 URL [ Edit ]

Re:rudolf2006さん、こんにちは。 - 管理人:芳野達司

コメントありがとうございます。

この本、子どものためとはいえ内容は深い洞察に富んだものです。
「いやなことに対処する方法を発明すること」、この本では大人になるための試金石のように書かれていますが、これがいかに難しいことか…。
よく時間が解決するといいますが、それ以外で解決する方法が見つからず難儀しております。

スターンのブラームス、やはりrudolf2006さんもお持ちですね。
メータとの演奏は、発売当初に聴いたのですが、オーマンディ盤はこの度初めて聴きました。
スターンのヴァイオリンは、正直言ってあまり美しいものではないですが、この演奏での覇気には、少しおつりがくるのじゃないかと思います。
オーボエはドゥ・ランシエという方なのですか。端正ですばらしい演奏です。それを含めて、ここでのオーケストラの演奏は濁りのない透明度の高いもので、聴き応えがありますねえ。
2009.08.29 22:28

無題 - neoros2019

小中学生の授業で聴かされたのがバックはオーマンディだったか記憶が定かではないのですがメンデルスゾーンのVn協がアイザック・スターンでした
兎に角、当時所有していた故:海野義雄のものより線が太くえらく感激した憶えがあります
のちにキョン・ファ・チョンをコンクールで落とそうとした黒幕?とかいう逸話が宇野氏の書籍の載っていたような
2009.09.01 Tue 08:24 [ Edit ]

Re:neoros2019さん、こんにちは。 - 管理人:芳野達司

スターンのヴァイオリンは、線が太いですね。メンデルスゾーンの演奏は聴いたかどうか覚えがないのですが、ブラームスからなんとなく想像します。

>のちにキョン・ファ・チョンをコンクールで落とそうとした黒幕?とかいう逸話が宇野氏の書籍の載っていたような

自分と同じユダヤ系のパールマンとズーカーマンを弟子にしていたのでそういう話がでてくるのですかねえ。
2009.09.01 12:48

無題 - neoros2019

タイヘン、タイヘン!
海野義雄氏は亡くなっていなかったですね
亡くなったのは田中千香士氏ですね
Wikipediaを閲覧したら現七十三、四ですね
芸大の楽器?の納入業者との収賄で逮捕されていたことが書かれていましたが、この件について、まったく忘れていました
過去に社会的に死んだと考えて勘違いしたのか?
2009.09.03 Thu 23:34 [ Edit ]

Re:neoros2019さん、こんにちは。 - 管理人:芳野達司

まったく違和感なく読んでしまいました…。

昔にくらべれば最近は活動が少ないこともあり、過去のヒトみたいな印象があります。
そうそう、昔逮捕されましたね。ずいぶん大きく取り上げられていたので、あのときはなんだか気の毒な気がしました。
2009.09.04 12:37
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