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ゲルバー、"ヘンデルの主題による変奏曲とフーガ"

2015.12.05 - ブラームス

ma
 


ゲルバーのピアノで、ブラームスの「ヘンデルの主題による変奏曲とフーガ」を聴く。

このCDは、同じ作曲家のソナタ3番とカップリングされている。10年ほど前に、ソナタを聴きたくて購入したものだ。
最近、ブラームスのヘンデル・ヴァリエーションに凝っていて、いろいろな演奏を聴いては無駄にレヴューしている。そんななか、ブログ仲間から「ゲルバーはいいよ」というようなお便りを頂いた。では聴かなきゃと思い、amazonで検索したら、どうも見たことのあるジャケットが。ヘンデルを完全に失念していたのである。
もう、ホントに馬鹿。バカバカ。豚に真珠とはこのことだ。

ゲルバーのピアノ、冒頭の淡い翳りを含んだ軽やかな主題の弾きぶりで勝負はほぼ決まった。以降においても、テンポの細かな揺らぎ、そして抑揚のつけかたが自然であり説得力がある。テクニックも申し分ない。弾きぶりが、ことごとく腑に落ちる。深く考え抜かれており、ニュアンスはじつにデリケート。各変奏での表情の移り変わりを、繊細に描き分けている。一音たりともないがしろにしていない。しかも、勢いもいい。

このピアニスト、20年以上前に東京公演を聴いた。ベートーヴェンのソナタばかりのプログラムだった。悪くはないけれども、感服するというほどではなかった。おそらく、ワタシが未熟だったせい。この録音時期と同じ頃のことだろう。

だが、このブラームスは、問答無用にいい。ああ、ゲルバーはこういうピアノを弾く人なのだということを、生で聴いたとき以上に強く感じさせられた。そしてこの曲を、技術的にも深みにおいても、ブラームスの最高傑作のひとつであることを確信した。
そんな演奏である。


1992年7月、オランダ、ライデン、スタッヘホールザールでの録音。





ma
 
スワン河。





重版できました。




「ぶらあぼ」4月号に掲載されました!







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Comment

若き日のゲルバー - yoshimi

こんばんは。
ゲルバーといえば、若い頃に録音したブラームスのピアノ協奏曲第2番を吉田秀和氏が絶賛していたのを思い出します。
ピアノ協奏曲第1番は、当時無名だったゲルバーを一躍有名にした名盤ですね。
そのわりにその後は(少なくとも日本では)もう一つ人気が高まらなかったような気がします。

ゲルバーも、もう70歳を超えているんですね。
数年前の来日公演のライブ映像を観ましたが、70歳頃にしてはかなり技巧の衰えが目立っていたので、やはり若い頃のブラームスやベートーヴェンなどを聴いた方が良いように思いました。(それに、CDで聴けるのはほとんど昔の録音ですから)

ヘンデル変奏曲は、しっとりした潤いのある美音とロマンティックな情感が濃く、貴婦人のような気品を感じますし、明確なリズムに彫りの深い表情でダイナミックな演奏ですね。
2015.12.05 Sat 20:48 URL [ Edit ]

yoshimiさん、こんばんは。 - 管理人:芳野達司

そう、わたしもゲルバーの名前を知ったのは吉田秀和の書いたものからです。ブラームスの1番の協奏曲だったか。かなり前のことですよね。
同じアルゼンチン出身では、アルゲリッチと同じくらいか少し先輩なのですかね。
来日公演のライブ映像、技巧の衰えが目立ちましたか。それは残念に思います。確かに普段彼のピアノを聴くCDはほぼ昔のものです。このブラームスとて、20年以上前のものですものね。
やはりこのヘンデル変奏曲はいいですか。気に入りました。
今日、図書館でシフのディスクを借りたので、今のところ、それとカッチェンが残っている感じです。とても楽しみです!
2015.12.05 23:33
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