ウゴルスキのピアノで、ブラームスの「ヘンデルの主題による変奏曲とフーガ」を聴きました(1995年6月、ベルリン、イエス・キリスト教会での録音)。
この世で最も好きな曲のひとつ。
モーツァルトの弦楽五重奏3番、ベートーヴェンの弦楽四重奏15番、ピアノ・ソナタ31番、シューベルトの「美しい水車小屋の娘」、ピアノ三重奏曲2番、ベルリオーズ「ファウストの劫罰」、ワーグナー「トリスタン」、チャイコフスキーの「眠りの森の美女」、マーラーの交響曲8番。あとナニかな? そのあたりと並んで。
この演奏はタイムでみると遅い。いつも聴いているカッチェン盤は26分42秒、ケンプ盤は24分28秒、レーゼル盤は25分48秒。
対して、これは30分31秒。いままでこの曲をわりと多く聴いてきましたが、30分超えは初めてです。
ただ、実際に聴くと、さほど遅さを感じません。トーンが明るいので、ことさら重くはならない。この響きの明瞭さがウゴルスキの持ち味なのでしょう。
強弱の按配はすっきりと胸に沁み入るし、フーガの技巧はひとつひとつ音が立っているから、広がりがあります。穏やかな熱狂が(矛盾しますが)、ここにあります。
ただ推進力はこのテンポのせいか、いささか停滞しているかな。でも、いい演奏です。
パースのビッグムーン。
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