「書き方と読み方は、まず教わらなくては教えることができない。まして人生においてをや」(第11巻-29)。
ダンチョフスカのヴァイオリン、ツィメルマンのピアノで、フランクのヴァイオリン・ソナタを聴く。
彼女は1949年にポーランドで生まれたヴァイオリニスト。シェリングやダヴィット・オイストラフに師事したという理由だけではあるまいが、なかなか太い音を出す。ヴィブラートはやや弱めで直線的な音。テンポはどの楽章も他の演奏と比べて中くらいであり、聴き易い。適度に激しく、適度にロマンティック。羽目を外さない。
演奏の白眉だと思うのは3楽章。レチタティーヴォ・ファンタジア、ベン・モデラート・・・・・・。通常のソナタで言う緩徐楽章だが、霊感溢れるメロディーがトリッキーに展開するところはじんわり楽しく、幻想的。ダンチョフスカは硬軟織り交ぜて、多彩な表情をつけている。考え抜いて弾かれたヴァイオリン。
ピアノのツィメルマンは録音当時24歳。ポーランド繋がりでこの共演が実現したのだろう。出しゃばらず、ひたすらヴァイオリンのサポートに務めている。
1980年7月、ミュンヘン、ヘラクレス・ザールでの録音。
休憩。
重版できました。
「ぶらあぼ」4月号に掲載されました!PR