ジャン・マルティノン指揮フランス国立放送管弦楽団の演奏で、フランクの交響曲ニ短調を聴く(1968年、12月、フランス、国立放送での録音)。
フランス系の作曲家のシンフォニーを聴くからといって、むやみにおフランス色を求めているわけではない。例えば、パリ管弦楽団は創設されてからすぐに粛清(?)があり、現代的な音色に変わっている。
それに比べれば、同じフランスの放送局のオーケストラは、比較的、おフランス色が残っていたのではないだろうか。少なくとも、1970年代くらいまでは。
この録音は60年代であるから、おフランスは残っていると期待していい。けれども、いざとなって聴いてみると、当時のパリ音楽院管弦楽団みたいな音はしていない。たっぷりとヴィブラートのかかったホルンとか、軽やかであっけらかんとしたファゴットとか。そこまでの味わいはない。けっこう、現在的である。スマート。かろうじて、オーボエがときおりチャルメラみたいな音を出していて、ちょっと愉快かな、といったところ。
なので演奏は全体的にすっきりと洗練されており、ツッコミどころがないのが寂しい。
思えば、マルティノンは、ライナーの後にシカゴ交響楽団の音楽監督になった人物。国際的な感覚を多く持ちあわせていたのだろう。
この演奏は、陰影があってよい。
けれど、マルティノンがその気ならば、より機能が高い、アメリカのオーケストラで聴きたかったとも思う。
屋根の上のパーティ。
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