カラヤン指揮ベルリン・フィルの演奏で、シェーンベルク「浄夜」(弦楽合奏版)を聴く(1973年12月、ベルリン、フィルハーモニーでの録音)。
この曲を久しぶりに聴いた。カラヤン、ブーレーズと続けて。
カラヤンの後にブーレーズを聴くと、後者が色褪せて聴こえる。ブーレーズもいいのだが、音色そのもので勝負しているわけではないから、響きの豊満さではカラヤンが上をいく。カラヤン時代のベルリン・フィルは、弦楽器が強くて濃厚だから管楽器がひきたたない。なのであまり好みではないのだが、こういう曲は気にならない。弦の厚みが、スゴイ。
ウェーベルンとベルクはわりとよく聴くけれど、シェーンベルクはあまり聴かない。特に後期の作品は、難解というよりも出来に問題があるケースが多いように思う。学問的には優秀かもしれないが、音楽としてどうかな、と。けれど、この曲や「グレの歌」あたりの、まだ後期ロマン派の匂いがぷんぷんする曲は、いいと思う。ちなみにこれが作られたのは、マーラーの交響曲4番と同じ頃。
これは器楽曲だから歌詞はないが、リヒャルト・デーメルの詩にインスパイアされて作ったとされている。
詩の内容をおおざっぱに言えば、他の男の子供を孕んだ女が、男に告白し、許してもらう、というもの。月夜のことである。
ベートーヴェンやドビュッシーもいいが、月夜にはこの曲を思い出す。
我が家からの月はぼんやりしていて、見えたり見えなかったり。
屋根の上のパーティ。
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