ケラー弦楽四重奏団の演奏で、バルトークの弦楽四重奏曲4番を聴きました(1993,94年、スイスでの録音)。
この作品は、特殊奏法が前作である3番以上に多用されているため、技巧上においては弦楽四重奏曲中屈指の難曲であるとの見かたがあります。
そうした観点で聴くとたしかに、けっしてやさしくないと感じますが、音楽の流れはいたって自然であるので、技巧のみが突出している印象はありません。
1楽章はアレグロ。切っ先鋭いのに、不思議な浮遊感があります。前半、動機の端々から「弦楽器と打楽器、チェレスタのための音楽」が聴こえます。
2楽章プレスティッシモ。わさわさとした、混濁の世界。しかしながら、ひとつひとつの楽器が鋭角的な光を放っており、眩しいです。
3楽章は、ノン・トロッポ・レント。チェロの広々としたメロディーが印象的。民族的な味わいを纏ったフレーズに、奥行きの深さも感じないではいられません。
4楽章はアレグレットは、全編がピチカートによる音楽。通常のものに加え、「バルトーク・ピチカート」が炸裂します。チャイコフスキーの第4交響曲から影響を受けたのではないかと邪推します。
5楽章はアレグロ。激しくいきり立った音楽。ケラーの演奏は鮮烈にして大胆に、めくるめく音響の世界を築き上げています。
アンドラーシュ・ケラー(1Vn)
ヤーノシュ・ピルツ(2Vn)
ゾルタン・ガール(Va)
オットー・ケルテス(Vc)
パースのビッグムーン。
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