釧路へは友人の見舞いに赴いたのだが、夜は暇だった。
ホテル近くの呑み屋で北の春を楽しんだ。
釧路ラーメン。魚介ダシのサッパリ味。
焼きホタテ。
珍しいホッケの刺身。
毛蟹。半身で380円。
トキシラズとイカ。
焼きホッケ。
釧路川。港を望む。
クレンペラーの指揮、フィルハーモニア管弦楽団の演奏で、バッハの「マタイ受難曲」を聴く。
抑揚の少ない演奏である。そしてなによりも遅い。
テンポが遅ければスケールが大きくなるわけで、その是非はともかく、この演奏はスケールが大きいと言える。
クレンペラーは、相変わらずそっけない。遅くて、表情が乏しい。オーケストラは重くない。クレンペラーらしくヴァイオリンの対抗配置であり、木管楽器が前面に出ている。
一聴すると、歌手でもっている演奏。
歌手はスターを多く揃えている。それぞれ個性が強い人たちであるから、でしゃばっているのかと思ったが、そうではない。みんな、演奏の流れに溶け込んでいる。
ピアーズはあまり好きな歌手ではなかった(「水車小屋の娘」を聴いていまひとつだった)が、ここではいい。直線的でノーブルな歌唱が全体を引き締めている。
シュヴァルツコップは、同じ指揮者とやったマーラーの4番など、いかにも古色蒼然としていて古くさいという印象があったが、ここではわりと端正な歌を聴かせてくれる。
ルートヴィヒはおそらく、この録音のメンバーのなかで最高の歌唱を披露している。彼女はいつも適度な情熱と多くの知性を歌に注いでいる歌手だが、ここでも好調。濃い血が通った声を聴かせてくれる。指揮者の朴訥な演奏とは対照的だ。
ディースカウは、オーケストラと一緒に歌うときは、ことさら技巧を前面に出すことがあるが、ここでは違う。自分の流儀をひたすらバッハの音楽のみに注入しているといった感じ。全体の流れに沿った歌唱である。他の歌手にも言えることだが、アクが少ない。
合唱はまずまず。この音楽に、とりたてて強力なコーラスが必要とは思わない。自然な歌いぶりでいい。
ぶっきらぼうなオーケストラに対し、歌手陣は大変素晴らしく、全体を通していい演奏だと感じる。ソリスト達をうまく統括するリードは冴えている。何度聴いても飽きない。
クレンペラーの遅すぎるテンポに関しては賛成というわけにいかないが、それを許容するバッハの音楽がやはり素晴らしい、そんなように思う。
福音史家:ピーター・ピアーズ(テノール)
アリア:エリーザベト・シュヴァルツコップ(ソプラノ)
アリア:クリスタ・ルートヴィヒ(アルト)
アリア:ヘレン・ワッツ(アルト)
アリア:ニコライ・ゲッダ(テノール)
アリア:ヴァルター・ベリー(バス)
イエス:ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(バリトン)
ユダ:ジョン・キャロル・ケース(バリトン)
ペテロ:ヴァルター・ベリー(バス)、他
ハンプステッド教会少年合唱団
マーティンデイル・シドウェル(合唱指揮)
フィルハーモニア合唱団
ヴィルヘルム・ピッツ(合唱指揮)
1960、61年ロンドン、キングズウェイ・ホール、他での録音。
飛行機。
在庫がなく、ご迷惑をおかけします。
重版の調整中です。
「ぶらあぼ」4月号に掲載されました!PR