日本シリーズが楽天の優勝で幕を閉じた。
へそ曲がりの私は、こういうときにジャイアンツを応援した。人気のセ、実力のパとは40年前から言われているが、ここ数年の交流戦の成績を見る限り、「実力のパ」には文句が言えないことになっている。まずそれが気に食わない。
加えて、過剰な東北支援。被災者に希望を与えよう。確かに、勝てば嬉しいだろう。生きる意欲も湧くかもしれない。にしても、あそこまでマスコミが煽ると、まるでジャイアンツの選手及びジャイアンツを応戦する者は悪者みたいだ。そう、このシリーズは、東北が主役を演じる活劇であった。
悪者の役割をキッチリ背負ったのが、菅野である。私ははっきり言ってこの投手を好きではない。顔が生意気そうだからだ。投球も変に老成していて若者らしくない。でもこのシリーズで彼は淡々と悪者を演じた。
それに対し、マー君は楽天はおろか、球界を代表するエースであり、日本の宝。その彼と二度対戦し、そのひとつに勝ちマー君の記録を途絶えさせてしまったのだ。しかも、敵地での試合で。
なんという精神力。菅野は、スゴいかもしれない。このシリーズでしみじみ思った。
ジャイアンツは、弱かった。
チョンの指揮でドヴォルザークの交響曲8番を聴く。
これは、後半に向かって尻上がりによくなっていく演奏。というと前半はいまひとつのように聞こえるが、そうではなく、前半も悪くない。ただ、終楽章が水際立っていい。
1楽章は中庸な演奏。テンポは普通だし、目立った変化もみせない。自然な抑揚が若々しくて気持ちがいい。
アダージョはゆうゆうとした足取り。テンポはちゅうくらいであるが、よく歌っている。フルート、ヴァイオリンを始め、トランペット、ティンパニも元気がいい。
アレグレットは、弦楽器の泣きがいい。ポルタメントの妙。この時代には珍しく、億面もなくかけている。コーヒーにたっぷりのクリーム。濃くて熱くて甘い。ウイーン・フィルはこうでなくちゃいけない。
終楽章は、トランペットの毅然としたファンファーレがとてもいい。これで勝負あった感じ。ヴァイオリンとチェロ、コントラバスはゆうゆう。金管を加えた合奏は快速で、ホルンの咆哮が強烈なスパイス。
「コガネムシ」の場面もスピード感が溢れる。正確に刻まれるリズムがよく、思わず体が動いてしまう。すばらしい躍動感である。
ラストも光る刀で見事な切れ味。
チョン・ミュン・フン指揮 ウイーン・フィルハーモニカー
1999年4月、ウイーン、ムジークフェライン大ホールでの録音。
ポニー。
つやつや毛並み。
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