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"結論はまた来週"、チェリビダッケ、"ライン"

2013.11.03 - シューマン

ma




高橋秀実の「結論はまた来週」を読む。

これはR25に連載していたコラムを単行本にしたもの。若者をターゲットにしたからか、この著者にしては珍しくやや上から目線になっている。とはいえ、大方の文章家に比べれば謙虚なのだが。

相変わらずゆるゆるとした発想と文章がいい。
ときは、金融危機の頃。著者は経済アナリストに尋ねる。一体どうすればいいのかと。答えは、安定企業の株を買うこと。今が底値なので買い時だという。著者は、そんなことはすでに大勢がやっているし、だいいち自分には株を買う余裕などない、と著者はアナリストを一喝する。そして、おもむろにカメの生活に思いを馳せる。
カメは2億3000万年前からずっと生き残っている。1億円ならぬ1億年単位で考えると、彼らこそが生存競争の勝者だという。
カメから学ぶべき点は、学習しないことである。
「彼らはエサ場を見つけても、再びそこを訪れるとは限らない。目の前にエサがあれば食べるし、なければ食べない。一見すると「アホ」のようなのだが、カメを捕獲する立場からすると、行き先の見当がつかず、なかなか捕えることができないのだ」。
素晴らしい。それに対して、人間は群れて生活するから脳が異常に肥大化している。ほとんどの能力は、腹の探り合いに費やされる。なんだか虚しくなってくる。

これからの時代は、カメであろう。










チェリビダッケの指揮でシューマンの「ライン」交響曲を聴く。

聴く前から長い演奏だろうと思っていたが、案の定40分近くかけている。それにしては、遅さはあまり感じない。
感じるとすれば3楽章なのだが、ここが一番の聴きどころだと思う。

いつも聴くこの曲は牧歌的でほのぼのしたものであるが、この演奏では一見明るい色調のなかに悪魔の囁きのような模様が散りばめられていて、ゾッとする。シューマンの狂気が見え隠れしている。
4楽章もいい。どっしりしていて、威厳がたっぷり。弦の厚い響きが濃厚。楽譜に記載している「壮麗に」を見事にあらわしている。
終楽章も悠揚迫らざる足取り。スケールが大きく、かつ精密。



セルジュ・チェリビダッケ指揮 ミュンヘン・フィルハーモニカー


1988年4月、ミュンヘン、ガスタイク・ザールでのライヴ録音。










ma
 

キングスパーク内。
















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Comment

無題 - アソー

お久しぶりです。
前回のラインの記事の時に、チェリビダッケの演奏を旧スタイルと評しましたが、単に旧スタイルとレッテルを貼るにはやや異形な演奏ですよね。ご指摘の通りテンポも遅いし、多分生で聴くとかなり大音量で鳴らしていると思います。でも、じっくり聴けて聞き終わるとなぜか満足してしまいます。個人的には大演奏だと思っています。

「結論はまた来週」はR25で今も連載されているので、よく時間潰しに読んでいますが、単行本になっていたのは知りませんでした。私はこれと交互に連載されている石田衣良の「空は、今日も、青いか?」の方が好きですが…。
2013.11.04 Mon 00:59 [ Edit ]

アソーさん、こんにちは。 - 管理人:芳野達司

ご無沙汰しています。
前回にアソーさんにご紹介いただいたチェリビダッケの演奏、気になっていましたがようやく聴くことができました。
チェリビダッケらしいゆうゆうとしたテンポでもって、スケール大きく描いたシューマンです。
ことに緩徐楽章が気に入りました。彼の晩年のブルックナー、とくに8番にはある種の狂気を感じましたが、ここでもそれを感得しないわけにいきませんでした。

「結論はまた来週」はまだやっているのですね。
石田衣良は読んだことがないのですがよいですか。気にしてみます。
2013.11.04 16:23

追記、もう直ぐR48…。(^^;; - アソー

コメントありがとうございます。
お勧めしたCD、聴いて頂いて嬉しく思います。チェリのようなタップリとした響きの演奏を聴いてしまうと、先日のアーノンクールがスカスカに聴こえてしまいます。
視点が違うので優劣がどうとかいうことでは無いのですが…。
今月の「レコ芸」の付録にライトナー/ベルリンフィルの「ライン」が復刻されて着いていますが、モノラルながら録音も良く、響きが有機的で凄く良い演奏でした。
興味がございましたら聴いてみてください。
石田衣良は最近はややマンネリ気味ですが、池袋ウエストゲートパークシリーズに一時期ハマっていました。時事ネタからストーリーを創り出すのが上手い作家で、私は好きですが。
2013.11.04 Mon 23:35 [ Edit ]

わたしは12月でR49デス。。。 - 管理人:芳野達司

こんばんは。
最近、全然レコ芸を買っていないのです。ご無沙汰しているのですが、ある方のブログを訪問したところ、ライトナーの「ライン」が付録にあることをしりました。全曲なのですね?
録音は、ケンプとのベートーヴェンのピアノコンチェルトしか知らなく、あとはたまにN響に来た時の演奏を聴いただけです。いい意味で昔ながらのドイツの指揮者との印象があるので、これは聴いてみたいですね。

石田衣良は一時期テレビでよく見かけました。本名は「いしだいら」なのだそうですね。
R25も、昔読んでいたのです。駅で見かけたらすかさず手にとってみたいです。
2013.11.05 21:12
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