若い頃、「小さくまとまるな」というようなことをよく言われた。あなたも思い当たるのじゃないかと思う。
この言葉の意味を当時からよくわかっていなかったが、実は今でもよくわからない。
「小さくまとまる」の反対は「大きくてまとめない」。これでは、しっちゃかめっちゃかではないか。
強いて言えば、爆発する芸術家とか、大言壮語の政治家とか、さすらいの吟遊詩人とか、サラリーマン金太郎のような特殊な職業の人は、当てはまるのかもしれない。しかし、そのへんの勤め人や、お店屋さんや、役人さんなど、世間で多くの割合を占める人々には当てはまらないように思われる。銀行の融資係が金勘定に大雑把だったら仕事にならんではないか。魚屋が「腐ってても死なないよ」とか言って古い魚を売っていたら誰も買わないではないか。
何年か前に、横浜の中華街近くの手相占いに「あんたはケツの穴が小さい男だなあ、あはは」と笑われたことがある。じゃあおまえはスケールがでかいのか? と言い返してやりたかったが、実際は「そーですか、むははは」などと言って一緒になって笑っていた。そのあたりがケツの穴の小ささを証明しているのかもしれない。
いずれにせよ、若者に「小さくまとまるな」などと説教する大人を、私は信用しない。
シルヴェストリ指揮ロンドン・フィルの演奏で、ドヴォルザークの交響曲8番を聴く。
先週に聴いた同じコンビの7番はつんのめったドヴォルザークであったが、こちらは安定している。テンポの細かい変化は多いが、なかなか自然に流れているので、さほど違和感はない。
1楽章は快速で快活。ロンドン・フィルのキレがいい。
2楽章はこってりと甘い。フルート、クラリネットとホルンの掛け合いがしみじみ美しい。それと、ラスト近くのティンパニの強打撃とのコントラストが面白い。
3楽章も甘い。この曲はこのくらいやったほうがいいのかもしれない。中間部は淡々としていながらも詩情に溢れている。懐かしさに涙が出そうになる。
4楽章は弦楽器が奏する主題がいい。情緒たっぷり。チェロは1オクターヴ高い箇所がある。
ラストは勢い重視。細かいところにはあまり拘泥しない。音が固まったままグシャっと終わる。
1958年の録音。
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